第275章

「小さな秘密?」周防浅奈は不思議そうに近藤永一を見た。

近藤永一は壁をコンコンと軽く叩きながら、何かを探っているようだ。

「初日にここへ入った時、部屋全体が物色された痕跡に気づいた。床板も一度剥がされている。だが、何も見つからなかったはずだ。でなければ、俺たちをここに泊めたりはしない」

一通り叩いてみたが、めぼしいものは見つからないようだ。

周防浅奈は呆れたように言った。

「お祖母ちゃんは結婚してから一度も戻ってないのよ。ここに隠すものなんてあるわけないじゃない。嫁入り道具は全部持って行ったし、『百草書』以外に隠す価値のあるものなんて思いつかないわ」

蘆澤家の針灸術はすべて蘆澤紫...

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