第300章

松本冬馬は、寝返った。

娘が生きていると知った今、彼にはもう、近藤天輝の側に立つ理由など欠片もなかったのだ。

彼は近藤天輝と瓜二つの容姿を持っていたため、長年その影武者として、汚れ仕事や危険な任務を請け負ってきた。

それもすべては、不治の病に冒された娘のため。近藤天輝の支配する病院で治療を受けなければ、最愛の一人娘である寧々は死ぬと脅されていたからだ。

だが、周防浅奈が告げた真実は残酷だった。

寧々は病気などではなかった。それどころか、彼女に見られる病の症状はすべて、幼少期から特定の慢性毒を投与され続けた結果だったのだ。

そして、寧々の命を繋ぐその「薬」を与え続けられるのは、近藤...

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