第37章

周防浅奈は近藤有季を伴い、周防グループの本社ビル前に立った。

車を降りる際、彼女は意識して背筋をピンと伸ばした。

仕事嫌いだった彼女にとって、周防グループに来ること自体が稀なことだった。

前世の彼女は両親の掌中の珠として育てられ、近藤永一からも溺愛されていた。働くことなど考えたこともなく、ましてや会社経営など眼中になかったのだ。

大学時代は、有能な近藤時弥に会社を任せ、自分は良き妻、良き母として生きればいいと本気で思っていた。

だが、前世での惨めな最期を思い出し、周防浅奈はバッグの持ち手を強く握りしめた。

虐げられないためには、自らが強くならなければならない。

今は近藤永一を頼れるが、もし...

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