第52章

周囲は信じられないといった面持ちで彼女を見つめた。まさか、あの小娘が人事部長に逆らうとは。

まだ試用期間中の身で、どこからそんな度胸が湧いてくるのか。

長島怜子自身も呆気にとられていた。入社して三年、これほど不遜な態度を取られたことなど一度としてなかったからだ。

一瞬の静寂の後、ロビーは驚きのざわめきに包まれた。

「あの秘書、頭おかしいんじゃないの? 長島部長に盾突くなんて」

「近藤様がバックにいるからって、いい気になってるのかしら」

「でも、近藤様が心底惚れてるのは『周防浅奈』さんだけでしょ? 顔がいいからって許されると思ってるのかね」

近藤永一の周防浅奈に対する執着は、偏愛...

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