第56章

近藤有季は車の中で、周防浅奈と木島若凪の会話を聞きながら、やるせなげに溜息を漏らした。

周防浅奈の意図は明白だ。自分たちが到着する前に警察に通報し、男を逮捕させようとしている。

だが、ならばなぜ彼女自身もそこへ向かうのか?

木島若凪のやっていることが詐欺まがいの「クレジットカード現金化」であることなど、子供でもわかる。それなのに、周防浅奈は何を企んでいるのだろうか。

近藤永一からの厳命を思い出し、有季は迷わず加賀冬馬の番号をダイヤルした。

彼は他の誰よりも警察組織とのパイプが太く、人探しにはうってつけだからだ。

車内では、木島若凪による周防浅奈への洗脳じみた説得が続いていた。

「近藤永一...

ログインして続きを読む