第59章

周防浅奈は呆気にとられて御坂寧音を見つめた。そんなのアリなの?

匂いで人を嗅ぎ分けるなんて、小動物じゃあるまいし。

御坂寧音は一つ咳払いをした。

「鼻が利くのよ。とにかく分かったの。それに私もよく野良猫に餌をやってるから、貴女が良い人だってことはなんとなく分かるわ」

周防浅奈は再び固まった。

大学に入って以来、彼女を「良い人」だなんて言う人間はいなかった。そもそも、他人の目には人間としてすら映っていなかったのだから。

かつての奇抜な装いを思い出し、周防浅奈は少し決まりが悪くなった。

「ただの気まぐれよ。それだけで良い人だなんて」

御坂寧音はその話題を掘り下げる気はないらしく、緊張した...

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