第60章

「いらない」

近藤永一は首を横に振った。

「じゃあ、人材は? 人材不足で困ったりしない?」

周防浅奈は葛藤していた。万が一、長島怜子が本当に多くの有能な人材を引き抜いてしまったらどうしよう。

近藤永一は口元に笑みを浮かべた。

「困らないさ」

彼は周防浅奈の思考を見透かしたように、愛おしげな眼差しを向ける。

濡れ衣を着せられたというのに、この小娘は真っ先に彼が金を失うことや、人材が流出することを心配しているのだ。これほど嬉しいことはないだろう。

周防浅奈は真剣な顔で頷くと、相原小奈に視線を移した。

「ファイルを盗んだら、必ず刑務所行きになるんですか?」

「必ずしもそうとは限りま...

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