第61章

相原小奈の言葉に、場は一瞬にして静まり返った。数秒後、誰もが信じられないといった面持ちで周防浅奈に視線を向ける。

「周防浅奈? 周防家のお嬢様か? そんな馬鹿な」

「違うだろ。この前見た時は、人間とも化け物ともつかない格好だったぞ」

「近藤様にキスされて、四六時中連れ歩かれてるんだ。まさか、本当に?」

衆人は周防浅奈の顔に穴が開くほど視線を注いでいた。

中でも最も衝撃を受けていたのは長島怜子だ。彼女は口をあんぐりと開けたまま、声も出せずにいた。

長島家も上流階級に属する家柄であり、彼女は以前、何度か周防浅奈に会ったことがある。声は少し太く、顔はよく見えず、いつも奇抜な服装をしてい...

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