第76章

第1章

近藤時弥は、周防浅奈がまたこの話を持ち出したことに、ギリギリと奥歯を噛み締めるほど苛立った。

だが、彼は引きつった愛想笑いを浮かべて頷くしかなかった。

「ええ、もう連絡はつけてあります」

「連絡がついたならいいわ。ジュエリーが戻ってくれば、追及はしない」

周防浅奈はグラスを手に取ったが、中身がまたマンゴージュースだと気づくと、そのままテーブルに戻した。

マンゴーの味は苦手だと、ずっと前に言ったはずだ。

あれが好きなのは木島若凪だけだ。

誰も彼女の好みなど気にしていない。所詮、ただの「金蔓」が何を好もうと関係ないのだ。

「あの十字架は近藤永一からのプレゼントだから、もしその泥棒が...

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