第4話

病院の待合室、冷たいプラスチックの椅子に腰掛けながら、私の心は沈んでいった。

大樹はそれを「些細な事故」だと言った……。銃撃事件を、こともあろうに「些細な事故」と。

再びスマホが震え、和也の容態を尋ねる大樹からのメッセージが届いた。

私は、機械的に返信した。

『怪我はしているけど、命に別状はないわ』

大樹からの返信は、即座だった。

『死んでいないのなら、今夜の貿易交渉に出席するのを絶対に阻止しろ。これは俺たちにとって非常に重要なんだ』

そのメッセージを読み、心の底がさらに冷えていくのを感じた。私は、独りごちる。

「『俺たち』にとって重要? それとも、あなたにとって...

ログインして続きを読む