第7話
和也は黙って、床に膝をつく私を見つめていた。真実の重みが一気にのしかかり、私の体は震えている。父を殺した犯人たちと一緒に写る大樹の写真が、砕け散った人生の破片のように、私の周りに散らばっていた。長い沈黙の後、彼は再び金庫へと歩み寄った。
「凜音」彼の声は、私の打ちのめされた様子を見てか、幾分か優しくなっていた。「辛いのはわかる。だが、伊藤大樹という男の本当の姿について、君が知るべきことはまだある」
私は涙に濡れた目で彼を見上げた。これ以上暴かれるべき裏切りがあるなんて、とても信じられなかった。
「真実とやらを語るなら」彼はそう言って、別の書類の束を取り出した。「君の『救い主』様が、...
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チャプター
1. 第1話
2. 第2話
3. 第3話
4. 第4話

5. 第5話

6. 第6話

7. 第7話

8. 第8話


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