第155章

高橋文也は言葉を切ると、自分の服を手に取り、背を向けて中村奈々の寝室にあるバスルームへ入っていった。静かにドアが閉まる。

こんな状況だというのに、彼はあくまで優しかった。その静かなドアの音は、まるで鈍器で殴られたような重い衝撃となって、中村奈々の胸を打ち据えた。

またしても、彼を深く傷つけてしまった……。

バスルームの中、高橋文也は下腹部の張り裂けそうな疼きに耐えていた。眉を深く寄せ、端整な顔立ちが苦痛に歪む。

壁一枚隔てた向こうに最愛の女性がいる。それなのに指一本触れることができない。その一分一秒が、焦がれるような責め苦だった。

「奈々……」

高橋文也は切なげにその名を紡ぐと、...

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