第241章

小川翔太はクスクスと笑いながら、極めて紳士的な手つきで車のドアを開けた。

「さあ、どうぞ」

車に乗り込むと、彼は彼女を覗き込み、冗談めかして言った。

「俺のこと、そんなに信用していいわけ? どこかに売り飛ばされるとは思わないのか?」

中村奈々は問い返した。

「そんなことする?」

彼は真面目腐った顔で考え込むふりをする。

「しないとは言わないが、まあ、できないな」

あの御方がいる手前、そんな度胸があるわけがない。命がいくつあっても足りないだろう。

中村奈々は尋ねた。

「どこへ連れていくつもり?」

「業界の大物たちの集まりさ。正直、退屈極まりないが、飯だけは最高に美味いから...

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