第244章

昔は気づかなかったけれど、意外と大胆……それに、随分と手慣れているみたい。

不意に、大きな掌が視界を遮った。

彼女はぎくりとして、反射的にその手を払いのけようとする。

だが、額をペチリと軽く叩かれただけだった。

「何でもかんでも見るもんじゃないぞ」

中村奈々は彼の手を押しのけ、額をさすりながら抗議した。

「別にいいじゃないですか。もう子供じゃないんだし。それに、あっちが堂々とキスしてるんだから、こっちが見たって罰は当たりません」

黒田謙志はまるで別人を見るかのように、目を丸くした。

「この数年で一体何があったんだ? 昔のお前なら、こういう話をするだけで顔を真っ赤にしてただろ」...

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