第246章

その返答を聞いて、黒田謙志は胸の奥で苦々しいものを噛み潰した。

「……あれだけ言ったってのに、検討する素振りすら見せなかったぞ」

「だから言ったじゃない。奈々ちゃんの中では、あんたより私の方が重要なんだって!」

「ふん」

謙志は目が笑っていない笑顔を浮かべたが、反論の言葉も見つからなかった。

「明日はあの子を内見に連れて行かなきゃ。いつまでもホテル暮らしってわけにはいかないでしょ?」

僅かな沈黙の後、謙志は勿体ぶった口調で切り出した。

「確かお前、明日は重要なデートがあるんじゃなかったか?」

黒田美紀子はニヤリと笑った。

「言われてみれば、そうだったわね。でも、どうしましょ...

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