第251章

中村奈々は、見開いた瞳をさらに大きくして、その瞬間、鼓動が半拍だけ止まったような錯覚に襲われた。

絶望の縁でもがく感覚が、あまりにも精神を削る。胸の奥まできしむような不安と恐怖が、じわじわと広がっていく。

黒田謙志は、自分で言ったとおり、本当に彼女のことを強く欲しているのだろう。このまま口づけてしまえば、二度と抑えが利かなくなる――そんな気配があった。

たとえ、それが本意ではなかったとしても。

「黒田謙志!」

彼の意図に気づいた瞬間、反射的に奈々は全力で脚を振り上げようとした。だが、その足首はすばやく片手で押さえつけられ、もう一方の手がするりとスカートの中へ潜り込む。細く長い脚をが...

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