第256章

成栄グループのビル内。

中村奈々は、プツリと切られた電話を握りしめたまま、眉間に深い皺を刻んだ。

取引先は、デザインの修正案など届いていない、担当者からの連絡もないと一点張りだ。

彼女はふと視線を上げ、部長室の方を見た。分厚い扉越しに、怒号が漏れ聞こえてくる。

「加藤! お前のその掃き溜めみたいなブランドが今まで生き残れたのは、誰が資金を注入してやったおかげだと思ってやがる! たかがこれっぽっちの融資を頼んだだけで、のらりくらりと……おい? おい! クソッ!」

ドカッ、と何かが床に叩きつけられる轟音が響く。

奈々は廊下の突き当たりで、静かに立ち尽くしていた。周囲は慌ただしく行き交...

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