第264章

その時、机の上に置かれたスマートフォンが震えた。ディスプレイの表示を見て、大城佑美は唇の端を吊り上げると、端末を手に取り、部屋を出て通話に応じた。

「……やっとあたしを気遣う気になったの? なによ、奥さんにバレるのが怖くなくなったわけ? ふん、早く来てくれないと、あたしいじめ殺されちゃうんだから……」

オフィスでは、佐藤蘭子が中村奈々の手伝いで有川紘樹関連の書類を整理しながら、声を潜めていた。

「ていうかさ、黒田グループっていう堂々たる大手企業なのに、デザイン部がたったこれだけの人数で、しかもマーケティング部の下請け扱いって、絶対おかしいと思わない?」

「そうね」

中村奈々は彼女を...

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