第295章

「光岡部長」

 大城佑美はオフィスのドアを軽く叩き、中からの応答を待ってドアを開けた。顔には愛想のいい笑みを張り付けている。

「デザイン部の大城佑美です」

 光岡和哉は顔も上げず、手元の書類にペンを走らせたまま、さらりと尋ねた。

「渡辺部長か?」

「いえ、渡辺部長ではなく、森田社長です」

「森田社長?」

 そこでようやく、光岡和哉はゆっくりと顔を上げた。椅子の背もたれに深く身を預け、冷ややかだった瞳に幽玄な光を宿す。

「どこの森田社長だ? うちにそんな社長がいた覚えはないが」

「スターシャイン・メディアの森田社長、森田美波様です」

 光岡和哉の眉が、わずかにピクリと動いた...

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