第6章 あなた、私を放して!
中村奈々は病室のベッドに横たわり、顔色は紙のように真っ白だった。
彼女は涙を拭い、黒田謙志を見つめた。
「あの人たち……どうなりました?」中村奈々の声は弱々しく、掠れていた。
黒田謙志はわずかに虚を突かれ、しばし沈黙した後、ゆっくりと口を開いた。「安心しろ。奴らは俺が重傷を負わせてやった。お前の仇は取っておいた」
中村奈々の瞳に驚きがよぎったが、すぐに感動の色が浮かんだ。
黒田謙志が自分のためにそうしてくれたのだと知り、胸の内に守られたことへの感謝の念が込み上げてくる。
「それで……警察には?」中村奈々は続けて尋ねた。
黒田謙志の眼差しに一瞬の逡巡が走り、彼は話題を逸らそうと試みた。「今の気分はどうだ? 傷はまだ痛むか?」
中村奈々は黒田謙志の異変を鋭敏に察知し、その瞳は疑念に満ちていた。「警察に突き出してないの? もしかして、誰が指示したか知ってるんじゃない?」
黒田謙志は黙り込む。中村奈々の問いにどう答えるべきか、わからなかった。
確かに、彼はあの男たちを操っていた黒幕を知っていた。だが、中村奈々にだけは知られたくなかった。
「何か言ってよ!」中村奈々は感情を高ぶらせ、声を幾分か張り上げた。「あの張本人を庇うつもりなの?」
中村奈々の追及に、黒田謙志は沈黙を貫いた。
彼の沈黙は、中村奈々に自分の推測が当たっていると誤解させた。「誰なの、教えて! 私が自分で落とし前をつけに行く!」
「中村奈々」黒田謙志は眉を顰め、低く唸った。「いい加減にしろ。お前は別に何ともなかったんだろう? この話はこれで終わりだ」
中村奈々は目を見開き、信じられないといった様子で黒田謙志を見た。「これで終わり? 簡単に言ってくれるわね。私はもう少しで……」
中村奈々は目を赤く腫らし、その縁には涙が溜まっていた。昨日経験した苦痛を思い出したのか、全身が震え始める。
彼女は一呼吸おいて、ようやく続けた。「私はもう少しで、二十数階の高さから落ちるところだったのよ。それなのにあなたは、これで終わりにしろって言うの? どうしてそんなことが言えるの?」
黒田謙志の心臓がどきりと跳ね、その瞳に後ろめたさがよぎった。
だがすぐさま、彼女の詰問に逆上する。
彼の顔はみるみるうちに険しくなり、冷たく鼻を鳴らした。「自分が何様だと思ってる? お前は金のためなら何でも売り渡すただの安女だろうが! 気取ってんじゃねえよ」
黒田謙志の言葉は刃のように、中村奈々の心を深く突き刺した。
中村奈々の顔色は瞬く間に血の気を失い、その瞳は驚愕と苦痛に満ちていた。
黒田謙志がこんな言葉を口にするとは、信じられなかった。
しかし、その瞬間、彼女の脳裏にあの堪え難い記憶が稲妻のように駆け巡った。
確かに、自分は金のために黒田謙志に身を売った。それはやむにやまれぬ事情があったにせよ、事実は事実だ。
まるで服をすべて剥ぎ取られ、衆人環視の中で裸にされたかのような、身の置き所のない感覚に襲われた。
「お前は金のためなら何だってする。昨日のことだって、体を売ってたんじゃないのか、誰が知るんだ?」黒田謙志の言葉はますます悪辣になり、その口元には嘲りの笑みが浮かぶ。「汚ねえな」
彼の言葉は、中村奈々の頬を激しく打ちのめす平手打ちのようだった。顔がひりひりと痛み、まるでナイフで皮膚を切り裂かれ、血が滴り落ちているかのようだ。
パァン——!
中村奈々はなんの前触れもなく彼に平手打ちを食らわせた。不意を突かれた黒田謙志は、それを受け止めることができなかった。
「あんまりだわ!」中村奈々の声は絶望に満ちていた。唇は震え、顔色はますます青ざめていく。
黒田謙志の顔が陰鬱に曇り、その深い瞳には今、燃え盛る怒りと嫌悪が宿っていた。
この女が、あの中村良太郎の娘が、多くの家庭を崩壊させた張本人が、この俺を殴っただと?
一瞬で、中村奈々への憎悪が潮のように押し寄せてきた。
「中村奈々、てめえ、随分とつけあがったじゃねえか!」黒田謙志は歯を食いしばって言った。「今日こそ、俺の凄さを思い知らせてやる!」
彼は中村奈々の手首を掴むと、身を翻して彼女をベッドに押さえつけた。両目は赤く充血し、彼女を睨みつけるその全身から、強烈な攻撃性が発散されていた。
「黒田謙志、放して!」中村奈々は痛みに悲鳴を上げた。
黒田謙志は中村奈々の苦しむ様子を見ながらも、まるでその叫びが聞こえないかのように、その瞳は欲望と衝動に満ちていた。
彼の理性は怒りに喰い尽くされ、今はただ発散することしか考えられなかった!
黒田謙志の手が中村奈々の体の上を這い始め、その華奢で柔らかな体を好き勝手に撫で回す。
中村奈々は全身に走る激痛に耐えながら、絶えず抵抗し、もがいた。しかし、怒りで理性を失った黒田謙志の前では、彼女はあまりにも無力だった。
黒田謙志の手が自分の上を滑っていくのを感じる。肌に触れられるたび、戦慄が走り、それが痛みと絡み合って、抗い難い感覚をもたらした。
彼女は泣きじゃくり、懇願した。「やめて、お願いだから許して!」
中村奈々の哀願は黒田謙志の憐憫を誘うどころか、彼をさらに興奮させた。
黒田謙志は乱暴に中村奈々の病衣を引き裂き、雪のように白い豊満な乳房を露わにする。
彼は身を屈め、彼女の白玉のような肩に口づけ、そのか弱い肌を優しく食んだ。
痺れるような感触が肌から中村奈々の骨の髄まで浸透し、彼女は思わず身を震わせた。
中村奈々の体はさらに激しく震え、それに伴って黒田謙志に唇で食まれる部位も震えた。
彼女は必死に首を捻り、黒田謙志の口づけを避けようとする。
しかし黒田謙志は彼女に逃げる隙を与えず、そのまま中村奈々の顎を掴むと、彼女の抵抗を無視して貝のように閉ざされた歯をこじ開け、舌先を巧みに滑り込ませた。
「んむぅ——!」中村奈々の苦しげな呻きが喉から漏れる。熱いものが内から込み上げてくるのを感じ、抑えようのない羞恥に駆られた。
黒田謙志は勢いに乗じて深く侵入し、城を攻め、地を奪う。彼は中村奈々の甘い蜜を狂ったように吸い、まるで食いしん坊の子供のようにその味を楽しんでいた。
中村奈々は必死にもがき、両脚で黒田謙志の引き締まった逞しい胸を蹴りつけ、彼の支配から逃れようと試みた。
しかし、彼女が抵抗すればするほど、黒田謙志を苛立たせるだけだった。
彼は一気に彼女の体を裏返すと、再びその体に跨った。
彼の大胆な手が彼女の両脚の間に滑り込み、その濡れた花弁を握りしめ、ゆっくりと揉みしだき始める。
「んん……っ!」中村奈々は異物が自身の秘部を襲うのを敏感に察知し、思わず呻き声を上げた。
「随分と感じるんだな」黒田謙志のからかうような声が部屋中に響く。彼は妖しく微笑んだ。「本当に淫乱な女だ」
黒田謙志の指は花弁の腔に沿ってゆっくりと下り、二枚の花蕊の間を軽く掻き立て、弄び始めた。
中村奈々は思わず体を縮こませ、青白い顔に微かな赤みが差した。
彼女は両脚で黒田謙志の腰を固く挟み、彼が体の最も秘密の場所に侵入するのを阻止した。
「黒田謙志、やめ、あ——っ!」中村奈々は突然甲高い声を上げ、両脚の力が抜けた。
彼女の股の間に、突然硬い棒状のものが現れ、その柔らかく温かい小道を押し当てていたのだ。
中村奈々の顔は瞬く間に真っ赤に染まり、彼女は唇を噛み締め、屈辱感を無理やり堪え、この硬い代物の存在をできる限り無視しようとした。
だが黒田謙志は、この中村奈々を調教する楽しみを諦める気はさらさらなく、絶えず擦りつけ、時折浅く突き入れた。














