第109章

名指しされた栞は、ちょうど遠が淹れてくれた茶を手に取ったところだった。

一口啜り、わずかに視線を上げると、今にも心筋梗塞を起こしそうな顔をした果帆の姿が目に入る。

こちらの視線に気づいた果帆は、これでもかとばかりに威嚇の目を向けてきた。

「プロジェクトでずっと解決していないバグがあって、当面はそこに注力したいんです。他のことは考えていません」

言い終えると、栞はもう一口茶を飲んだ。

「開発プロジェクトである以上、重視すべきは技術ですから。それ以外のことは、私よりも倉橋部長のほうが適任だと思います」

最後の一言は、いくらか果帆の機嫌を取るような響きがあった。

果帆は鼻で笑い、二人...

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