第117章

猛スピードで車を走らせていた蓮は、彼女の声を聞いて、それでも顔をこちらへ向けた。

だが、その一瞥に彼女は肝を冷やした。

「前を見て!」

「なんだ、事故るのが怖いのか?」

声には笑みが混じっているのに、背筋が凍るような冷たさがあった。

栞は派手に罵声を浴びせてやりたかった。

事故に遭いたい人間なんて、いるわけがない。

それに、これほどのスピードで何かにぶつかれば、間違いなく最悪の事態を引き起こす。そんな結末は絶対に御免だ。

だが、今は彼がハンドルを握っている。当然、刺激するわけにはいかない。

他人に生殺与奪の権を握られているこの感覚は、本当に最悪だった。

どうして蓮と関わる...

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