第12章

愛がないなら、金をたくさん稼ぐ。

それだって、悪くない発想だ。

けれど――。

どうして妥協しなきゃいけない。

彼女は、もっといいものを手にしていい。

「急に気前がいいじゃない。会社でまた何かあったの?」

「あるわけないだろ」

蓮の表情が、どこかぎこちない。けれど栞の、凪いだ水面みたいな瞳とぶつかると、逆に「いつも通り」に見えてしまう。

「ただ、あの案件はお前が最初から最後まで回してた。けじめはつけとけ」

「分かってるだろ。あいつら、攻めるのは得意だけど、資料の整理は壊滅的なんだ」

――へえ。

プロジェクトマネージャーで、要の技術を握ってる人間が、彼の中では「書類係」って...

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