第121章

歩美は外の音がよく聞こえなかったが、突然飛び出してきた人影にぎょっとした。幸いスピードを出していなかったので、間一髪でブレーキを踏み込んだ。

窓を開けて、それが蓮だと確認するなり、彼女は車から降りることもなく、そのままUターンして立ち去ろうとした。

だが、彼の方が一足早く駆け寄り、ドアをこじ開けて車のキーを引き抜いた。

「何するのよ!」歩美は彼を睨みつけた。「自分のやってること、分かってる? これ、強盗だからね!」

蓮は彼女を無視して車内をぐるりと見渡したが、栞の姿がないことに気づき、眉を深く潜めた。

「栞は?」

「知るわけないでしょ?」

「とぼけるな。彼女を迎えにここへ来たん...

ログインして続きを読む