第138章

栞「……」

本当は言ってやりたかった。私は家政婦の面接に来たんじゃない、と。

けれど司には、これまで何度も助けられている。しかも全部、命拾いするような場面ばかりだ。

たかが薬を替えるだけ。そう分かっていても、どうしても断れなかった。

通話を切るボタンをぐっと押し込み、鬱憤をぶつけるみたいに息を吐く。着替えを済ませると、栞は司の家へ向かった。

来る回数が増えたせいか、足取りは妙に迷わない。

――が、玄関を抜けた瞬間。

上半身裸の司が目に入って、栞の目が思わず見開かれた。

昨日は車内が狭いうえに光も悪く、はっきり見えなかった。けれど今は違う。リビングは明るい。引き締まった胸板も、...

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