第21章

栞と蓮の付き合いは長い。彼が怒りを噛み殺しているくらい、わからないはずがなかった。

面倒ごとは避けたい。しかも紙袋のロゴが目に入ってしまって、彼女は結局、近づいて中を一瞥した。

エルメスのバッグ。けれど――

わざわざ自分のために買ったというより、どう見ても「ついで」の品だった。

栞は適当に持ち上げ、心のこもらない声で言う。

「……ありがとう」

それだけ?

蓮はその淡々とした顔を見つめながら、脳裏に、美月がプレゼントを受け取った瞬間のぱっと花が咲くような笑顔を浮かべた。目の奥に苛立ちが走る。

昔は、菓子をひと袋くれてやるだけで、あいつは笑った。

それなのに、何千万もするバッグ...

ログインして続きを読む