第27章

「ちょっと買うものがあるんだ。よかったら、君に目利きしてほしい」

一ノ瀬司が淡々と言う。

「せっかく来たんだし」

栞はもともと彼に対して負い目があって、断り方が分からない。

しかもその理屈があまりに強引で、結局うなずくしかなかった。

「何を買うご予定なんですか?」

芳月堂オークションに出る品だ。粗悪品のはずがない。司の身分ならなおさらで、彼女は疑いもしなかった。

「家のじいさんを怒らせた。何点か見繕って、機嫌を取ろうと思って」

さらっと言う司に、栞は思わず彼を見直してしまう。

司が眉をわずかに上げる。

「そんなに見る?」

「一ノ瀬社長でも、年上を怒らせることがあるんだっ...

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