第28章

伝説なんて、信じる人ばかりじゃない。けれど誰だって、縁起のいい話は好きだ。

ましてや、誰かを愛している人なら――腕輪ひとつで、その人を三生三世、縛り留められたらと願わずにいられない。

会場では次々と札が上がり、価格は今日の競りの山場へと一気に駆け上がっていった。

「10億」

蓮は、獲る気でいる。

遠は、社長の金を使っているだけだ。心は少しも揺れない。

「11億」

蓮が目を細めた。

「12億」

「13億」

上げて、また上げる。二人が張り合うほど、他の参加者はただ黙って見守るだけになった。勝ち目がないのは誰の目にも明らかだ。

栞はその応酬を眺め、冷えた表情の奥にわずかな驚き...

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