第31章

「そんなわけない……」

そもそも、彼と自分の関係に「贈り物」という項目は存在しない。

ましてや、彼が渡したそばから自分が落として壊したなんて、どう考えてもあり得ない。

司は、栞のわずかに強張った表情を見て、ゆっくりと言葉を継いだ。

「なら、きちんと直すべきだろ」

「……はい」

「玉の修復を専門にしてる職人を知ってる。腕は確かだが、基本は仕事を受けない人だ。俺に預けろ。こちらで手配する」

一拍置いて、彼は淡々と付け足す。

「まあ、こんなもの捨てても構わないと思うなら……今の話は忘れろ」

「いえいえいえ! お願いします、一ノ瀬社長」

栞は慌てて箱の蓋をきちんと閉め、そっと押し...

ログインして続きを読む