第34章

栞は驚いて、あわてて服を押さえようと手を伸ばした。

親友同士、歯ブラシと男以外は共有しないものがない。お互い、秘密なんてほぼゼロだ。

温泉だって風呂だって日常茶飯事。けれど――男の前で服をめくられるのは話が別だった。

だが、彼女より先に動いたのは司だった。さっと前へ出て、栞の服を押さえる。

歩美は一瞬きょとんとして、その骨ばった大きな手をたどって視線を上げた。すると、司の古井のように波一つ立たない目とぶつかる。

……なのに。

見れば見るほど、胸の奥がざわついて落ち着かない。

このままもう一度でも手を出したら、爪ごと持っていかれそうな気がした。

歩美は即座に手を引っ込め、へらっ...

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