第43章

「――あり得ない」

歩美が口にした、その瞬間だった。栞は即答した。

蓮の浮気を知った当初、彼女だって揺れなかったわけじゃない。苦しみながらも、どこかで「もう一度だけ」と思った。

腹を割って話して、全部を表に出して、ふたりの関係に最後のチャンスを――そう、何度も考えた。

けれど……。

彼は彼女をミッドナイトに置き去りにした。アレルギーで苦しんでいても、宇の視線が危うく絡みついていても、見ようとしなかった。頭にあったのは美月のことだけ。

彼女がAIプロジェクト部のために削ってきた時間も、積み上げた結果も、平然と無視した。努力を他人の手柄にすり替え、彼女の名誉まで美月に渡そうとした。

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