第51章

遠「……」

社長は褒め言葉待ちか?

もっとも司は遠の返事など気にも留めず、立ち上がると先に社長室を出ていった。

会議室に司が姿を現した瞬間、ざわめきがすっと引いて、空気が張りつめる。ただ注がれる視線には、言葉にならない感情が幾重にも混じっていた。

司はそれに気づいていないかのように議長席へ腰を下ろし、ファイルをぱらりと開く。

「今月の財務報告、いい数字だな」

その一言で、糾弾の火種は半分ほど鎮まった。

司がトップに立ってから、一ノ瀬グループは勢いを増すばかり。もともと伸びていた会社が、さらに翼を得た形だ。

それでも――金が増えるのを嫌がる者などいない。

ましてや、損の出ない...

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