第58章

蓮の顔に浮かんでいた柔らかな情は、一瞬で苛立ちへと反転した。

栞が――自分をブロックするだなんて。

陰った表情のまま栞へ電話をかける。返ってきたのは、繰り返される無機質なアナウンスだけだった。

くそっ……彼女は元来、筋の通らないことをするタイプじゃない。

どれだけ言い争って別れ話にまでなったとしても、「少し距離を置こう」と言うだけで、こんな手段に出るはずがない。

それなのに――。

ここ最近のやり取りを思い返す。冷戦か、火花を散らすような口論か。まともに話せた記憶がない。

そして栞の態度は日ごとに冷え、笑ってさえ、遠く、どこか他人事のようだった。

離婚すると言って、自分を美月に...

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