第61章

シャンデリアの光を浴びた白い腕は、どこまでも滑らかで美しい。だからこそ、そこに刻まれた二筋の血の痕が、ひどく痛々しく見えた。

異変にいち早く気づいたのは、蓮だった。

本来ならきめ細かくてすべすべしているはずの肌が、どこか不自然だ。じわっとした、生温かい湿り気を感じる。

思わず視線を落とすと、彼女の腕の傷口から再び血が滲み出し、ぽたぽたと床に滴り落ちていた。

蓮の瞳が急激に収縮する。あまりの驚きに喉が詰まり、言葉を発することすらできない。

その時、人だかりの中から誰かが叫んだ。

「早く手を離してやれよ! 腕に怪我してるじゃないか」

その声にハッと我に返った蓮は、まるで火傷でもした...

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