第64章

栞は嫌悪を込めた一瞥を美月にくれた。

かつては熱烈に蓮を愛していた。だが、愛だの恋だのといった感情が一生続く保証などどこにもないことくらい、とうに理解している。

だからこそ、彼の浮気を知ったときは、ただ波風を立てず綺麗に別れようとだけ思っていた。

それを、彼らが執拗に追い詰めるから、彼女の考えは二転三転させられたのだ。

昨日の出来事は、すでに彼女の胸の内に消えることのない復讐の炎を燃え上がらせていた。蓮と美月には、当然の報いを受けさせなければならない。

ただ、司に関しては……。

美月たちが黒を白と言いくるめる手口を知り尽くしているからこそ、彼に一滴たりとも泥水を被らせたくなかった...

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