第66章

栞の瞳は澄みきって、真摯な光を宿していた。絶望の淵から何度も引き上げてくれたこの男に、心の底から感謝していた。

司の口元に、わずかな笑みが浮かぶ。

だが、視界の隅で彼女の腕から滲み出す血の滴を捉えた瞬間、その瞳の奥に微かな冷気が走った。

それでも、紡ぎ出される声は相変わらず穏やかで淡々としている。

「病院へ行って、傷の処置をしてきなさい」

そう言いながら歩美へ視線を送ると、彼女は即座に頷いた。

「今すぐ連れていきます。任務完了をお約束します!」

司は短く応じただけで、それ以上は歩美を気にかける素振りも見せなかった。

「警察の件は心配しなくていい。こちらで手配しておく」

公正...

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