第72章

いつも隙なくスーツを着こなしているこの男が、まさかこれほど見事な体格をしているとは思いもしなかった。

服の上からでも、決してひ弱ではないことがはっきりと分かる。

特に鎖骨のくぼみには、どこか蠱惑的な色気が漂っている。

おまけに顔立ちは端正で禁欲的。その二つが合わさることで、致命的な魅力を放っていた。

「見惚れたか?」

彼は可笑しそうに彼女を一瞥すると、そのままソファへ歩み寄り、腰を下ろした。

栞は慌てて視線を逸らした。気まずさと同時に、最近の自分が少し欲求不満気味なのではないかと自己嫌悪に陥る。

「一ノ瀬社長、何かご用でしょうか」

「服を脱げ」

「……」

これが、今の二人...

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