第73章

栞は怒りを通り越して笑い出した。

「私の要求なら何でも聞くって? 私の要求は一つだけよ。離婚して」

「それはできない……」

「どうしてあなたが拒否できるの?」

彼にこれ以上くだらない言い訳をさせる隙も与えず、冷ややかな声で畳み掛けた。

「先に裏切ったのはあなたよ。美月と見せつけるように付き合って、二人のために何度も私を犠牲にしてきたじゃない」

「今さら『離婚しない』の一言で、私に家へ戻ってやり直せとでも言うつもり?」

「私が痛い目を見ても懲りない馬鹿だとでも思ってるの? それとも、私があなたなしじゃ生きていけないとでも?」

栞の非難を浴びて、蓮の声には再び懇願の色が混じった。...

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