第74章

「最善の選択」

その言葉に、蓮の顔からさっと血の気が引いた。

高校時代にこっそり交際を始めた。若さゆえの無軌道と熱情に任せ、先の見えない未来など気にも留めなかった。

自分の家族が彼女を疎ましく思っていると知っても、彼は意に介さなかった。ただ、二人で一緒にいられることだけが何より大切だったのだ。

それが今や、すべての感情が算盤の珠のようにはじかれ、計算されている。まるで心臓を刃物で何度も抉られているようで、血肉が削げ落ちるほどの痛みが走る。

「栞……」

掠れた声が漏れる。その瞳には懇願の色が浮かんでいた。

「分かってるだろ。俺たちの間に、現実なんてどうでもよかった。大事なのは、君...

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