第75章

「……」

社長の車で出社するなんて、さすがにまずいでしょう?

しかも、今日は初出勤の日だ。

間違いなく、コネ入社だと噂されるに決まっている!

以前、神谷にいた頃は、枕営業でのし上がったと陰口を叩かれていた。あの時は自分が蓮の妻だという自負があったから、そんな噂など気にも留めなかった。

だが、今は違う。

潔白であっても、泥を塗られることはあるのだ。

「お気遣いなく」栞はすぐに笑顔を作って断った。「もう配車アプリで呼んでありますから。相乗りですけど、すぐ来ますし」

スマホの画面に表示されている順番待ちの文字には、あえて目を向けない。

しかし、彼女が振っているスマホの画面をばっち...

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