第77章

遠は目を丸くした。頭の中は疑問符でいっぱいだ。

自分のどの言葉が、社長と果帆が付き合っているという意味に聞こえたというのか。

「相沢さん、誤解ですよ……」

「それじゃ、挨拶に行ってきますね~」

ちょうどエレベーターのドアが開き、彼女はひらひらと手を振って、さっさと降りていった。

遠はその背中を見送って追いかけようとしたが、自分が栞を追いかけ回しているところを社内の人間に見られ、それが社長の耳にでも入ったら……と想像してしまった。

思わず身震いし、踏み出しかけた足をそのまま引っ込める。

栞は彼の弁明など気にも留めていなかった。一ノ瀬家と倉橋家の関係を考えれば、縁談が持ち上がるのな...

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