第78章

栞は、未来の社長夫人の機嫌を損ねて、やっと手に入れた新しい職を失うことだけは避けたいと考えていた。

だからその問題に深く悩むのはやめ、AIプロジェクト部設立以降の全データを引っ張り出すと、自席に座って真剣に目を通し始めた。

直面している難題は、ひとまず後回しだ。

何より優先すべきは、プロジェクトチームの現状を把握することなのだから。

……

神谷、社長室。

高橋弁護士は、ダークネイビーのオーソドックスなタイトスカートのスーツに白いブラウスを合わせ、黒縁メガネをかけていた。長い髪はきっちりとまとめられている。

全身から、近寄りがたいほど厳格で重苦しい空気を放っていた。

彼女の姿を...

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