第79章

「どうしてですか」蓮はふいに目を見開いた。その答えが、彼にとって何よりも重要であるかのように。

高橋弁護士は彼のその様子を見て、ふき出しそうになった。

心の中に本当に栞の存在があるというのに、どうしてこんな事態を招いたのか。

だが彼女はプロだ。実際に笑うことはなく、淡々と口を開いた。

「彼女、最初に違和感を覚えた時点で、私に離婚届の作成を依頼してきたのよ」

「でもね、彼女は本当にあなたを愛していたし、二人の絆を断ち切るのをためらっていた。あなたが目を覚ましてくれるのを、ずっと待っていたの」

「それなのに、結果はどう? オーロラを見に行こう、大草原で馬に乗ろう、世界の果てまで連れて...

ログインして続きを読む