第8章

蓮の顔から血の気が引き、表情がみるみる硬直した。彼はすぐに立ち上がる。

「きゃっ」

無遠慮なほど無防備な美月がベッドサイドのキャビネットにぶつかり、唇を尖らせた。

「ちょっと、何するの、蓮?」

「用事がある」

それだけ言い残し、蓮は大股で病室を出ていった。だが廊下を見回しても、栞の姿はどこにもない。

その一部始終を見た看護師が一瞬ぽかんとし、続けて美月を一瞥してから、何も言わずに去っていった。

美月の顔色が、露骨に悪くなる。

……

栞は退院手続きを済ませると、そのままタクシーで帰宅した。

しっかり眠って少しは体力が戻ったとはいえ、宿酔いは宿酔いだ。家に着くなりベッドへ倒れ...

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