第91章

美谷英介は唇の端を吊り上げ、目を細めると、山波采奈に向かって顎でしゃくった。

「出ていけ」

「美谷さん!」

彼女は顔色をサッと変え、その瞳には明らかな動揺が混じっていた。

「出ていけと言っているんだ。言葉が通じないのか?」

美谷英介は彼女を取り合う気など毛頭ないらしく、ドスを効かせた声で言い放つ。

山波采奈の顔からさらに血の気が引き、階段の上でふらりとよろめく。一歩間違えれば、そのまま転げ落ちてしまいそうだった。

彼は小さくため息をつき、少しだけ声を和らげた。

「車で待っていろ。すぐに終わる」

「十分だけ」

彼女は食い下がる。

美谷英介が喉の奥で笑って承諾の意を示すと、...

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