第93章

栞が目を覚ましたとき、頭の中はひどく霞がかかっていて、数秒間、直前に何が起きたのか思い出せなかった。

周囲の状況がはっきりと見えてきてようやく、自分がまだあのヴィラにいることに気がついた。

体を動かそうとして、初めて自分がロープで縛られていることに気づく。身動きひとつ取れない。

さっき……。

美谷英介に気絶させられたのだ。これは、軟禁ということか?

目を細める。外が今何時なのかは分からない。だが、彼女が星奏プロモーションへ向かったことは、すでに司の耳に入っているはずだ。

以前、彼と何の関係もなかったときでさえ、彼は助けてくれた。

今や彼の部下なのだ。決して見捨てるようなことはし...

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