第4章

煌々と照明が照らす、高級ホテルの個室。紫煙が立ち込める中、スーツ姿の男たちがグラスを片手に談笑していた。

これは佐藤隆一と数人の財界の友人との送別会だった。酒も三巡し、話題はとっくにビジネスの話からプライベートなゴシップへと移っている。

「おい、これ見てみろよ!」

酔っ払った若い跡継ぎがスマートフォンを掲げた。

「ツイッターのトレンドだ。あの『寂静書房』の謎の社長、竹屋尊史が最近東京に現れたらしいぜ!」

「竹屋尊史?」

別の男が眉をひそめた。

「ずっと京都にいるんじゃなかったのか? 姉さんの件以来、ほとんど公の場に姿を見せてないって話だが」

佐藤隆一は上の空で彼らの...

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