第103章

午前中の役員会議をすべて蹴って、わざわざ南区まで走った。彼女が口にできる朝食を、自分の手で買うために。

――なのに今の自分は、笑い話にもならない。

彼女は俺を必要としていない。彼女の世界には、いつだって金田川浬が待機している。

胸の奥で嫉妬が野火みたいに爆ぜ、理性を焼き尽くし、最後に残っていた自尊心まで灰にした。

立花真淵は顎のラインをきつく引き結び、眼底にぞっとするほどの殺気を滾らせる。

踵を返すと、手にしていた高価な朝食の袋を、通りかかった看護師に無造作に押しつけた。

「やる」

看護師の呆けた顔など視界に入れず、立花真淵は長い脚で病院の廊下を切り裂くように歩き、二度と振り返...

ログインして続きを読む