第108章

立花真淵はさらに距離を詰め、反射的に手を伸ばして彼女を受け止めた。

須藤郁夜は彼の胸に凭れ、目を固く閉じたまま荒い息を吐く。顔色は紙のように白く、見ているだけで背筋が冷える。

立花真淵は眉間に深い皺を刻み、原稿の件を追及する余裕など失っていた。彼は郁夜を横抱きにすると、休憩室を飛び出しながら怒鳴る。

「車を回せ。病院だ!」

高山峰は新谷卿華をきつく睨みつけ、慌てて後を追った。

休憩室には、再び静けさが落ちる。

羽田糸はがらんとした出入口を見やり、白目を剥くようにして鼻で笑った。

「この演技力、ハリウッド行かないのがもったいないわ。証拠って言った途端に失神? いっそ死んだふりまで...

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