第11章

パソコンの画面がぱっと点き、青白い光が彼女の顔を照らし出す。血の気はない。それでも、目だけは不自然なほど落ち着いていた。

外の噂話は、扉の向こうへ押しやる。新谷卿華は無機質にファイルを開き、山のように積まれた仕事へ手を伸ばした。

――心なんて、とっくに死んでいる。なら、痛むはずもない。

いま彼女が望むのはただひとつ。あってはならない子どもを、なるべく早く処理してしまうこと。そして、立花真淵の世界から完全に消えること。惨めでもいい。これ以上、この歪んだ関係に沈み続けるよりは、ずっとましだ。

新谷卿華の指がキーボードを走る。カタカタ、と乾いた音が規則正しく響くたび、終わりに向かう結婚のカ...

ログインして続きを読む